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Sisizaryuseigun, since 2004.07.21

140文字SSまとめ - vol.9 [マオヒエ]

[ 厳密には140文字ではない話 - お題元 ]



81.『出来るなら苦労はしない』 ──── 2019/01/11

「そろそろ、素直になってみてはどうだ?」
「…………」
身体の芯は焼け爛れ、呼吸は荒くなっていく一方だ。剥き出しの感情に仮面を被せる余裕すら無い。
「本当は分かっているくせに」
──虎視眈々と獲物を狙う瞳が笑みを浮かべる。
「それが出来たら苦労はしない」
──瞳に映る獲物が苦し紛れの皮肉を突き返す。


82.『いえない一言』 ──── 2019/01/12

「あ、あのさ、俺……本当はお前の事……“好き”──なんて言うと思ったか? そんなわけないだろ!
 俺達がどういう因果で巡り会ったのか、忘れたわけじゃないだろうな。大体、俺が仙界に残っているのだって──
 その……監視のため、だけど……俺だって、お前と……い、いや、何でもない。…………はぁ」


83.『もう一度、恋をしよう』 ──── 2019/01/13

「くくく、小僧。生きているというのは素晴らしいな。歩めば歩むほど、己の中に眠る未知を知る事が出来る」
「何だよ、急に喋り出して」
「貴様は不思議な小童だ。貴様を通した世界は全てが真新しく、初々しい。実に興味深い」
「はぁ……?」
「なるほどな、これが“恋”か……」
「“恋”って……え、ええ?」


84.『愛したかった』 ──── 2019/01/14

その身体は仄かに温かく、柔らかい。血が通っている証拠を実感して安堵する。
今日は静かに眠り続ける彼の横顔がやけに恐ろしくて、その手に指を絡めて不安を抑えた。こんな事、いつもじゃ出来ないくせに。
人の愛し方なんて分からない。それでも、彼の事は愛したかった。だから、明日こそは伝えるんだ。


85.『君と僕の終末論』 ──── 2019/01/15

「終末論ねえ」
古文書を読み進める手を止めた帝王が、欠伸を漏らすかのようにぼそりと呟いた。
「貴様は“世界の終末”というものについて考えた事があるか?」
「え? 何だよ、急に」
「ま、無いわな。余も無いし」
「はあ?」
「貴様と過ごす一日の方が、余にとっては大切だしな」
「ん? あ、ありがとう?」


86.『自分だけ知ってればいい』 ──── 2019/01/16

「ククク……」
「俺の顔に何か付いているのか……?」
「いいや、別に」
襟巻きを口まで持ち上げたという事は……小僧め、これは何かを隠しているな。
「だったら……」
「いやあ、可愛らしいものよ」
「何だよ、もう!」
奴の癖の事か? 教えてしまったら、奴は矯正してしまうだろうからな。言うわけがなかろう。


87.『制限時間はあと一分』 ──── 2019/01/17

「なあ、本当にこんな所からでも見えるのか?」
「ああ」
今日は小僧と二人で城下の冬祭りに赴いた。存分に祭りも堪能し、残すは名物の山車だけとなったので、小僧を連れて穴場の席へと向かう。
遠くから響く喧騒からして、そろそろのようだ。道半ばだが間に合うだろうか。小僧を抱えて走ってやるか……?


88.『誰にも渡さない』 ──── 2019/01/18

「随分な美丈夫をお連れで」
「まあ、なんて美しい人なの」
──通りがかりの誰かが誰かに囁き、見つめる誰かが誰かに呟く。
「わはは、貴様は本当に鈍感で助かる」
「何だと」
「褒めているのだぞ?」
心奪われるほどの美丈夫か。確かにそうだな、否定はしない。だから、こうやって付いて回らせているのだしな?


89.『多分上手く笑えていない。』 ──── 2019/01/19

「なあ。今ここで俺が“本当はお前の事が好きなんだ”って言ったら、どうする?」
「“知っている”と返すだろうな」
「は? 今、何を」
「フン……だから、貴様は青いのだ」
う、嘘だろ? まさか、俺はずっとこいつに弄ばれていたのか? で、でも……
「そうか。そう、なのか……」
多分、今の俺は上手く笑えていない。


90.『ゲームを始めようか』 ──── 2019/01/20

「丁半だと? どんな風の吹き回しだ」
「賭け事の方が貴様も盛り上がるだろうと思ってな」
「ふうむ、それで? 何を賭けるというのだ」
「賭けるのは“自分自身”だ。勝った方が負けた方を“奪う”。何を奪うかは……勝った方のお任せだ」
「ほほう! 良かろう。その話、乗った! 今夜は久方振りの真剣勝負だ!」

『140文字SSまとめ vol.9』

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140文字SSまとめ - vol.8 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.71〜No.80]
140文字SSまとめ - vol.9 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.81〜No.90]
140文字SSまとめ - vol.10 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.91〜No.100]


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袖黒鴉 (そでぐろからす)
絵描き 兼 文字書き




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