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Sisizaryuseigun, since 2004.07.21

140文字SSまとめ - vol.10 [マオヒエ]

[ 厳密には140文字ではない話 - お題元 ]



91.『よくもそんな恥ずかしい台詞を』 ──── 2019/01/21

季節は移ろい、足早に冬が過ぎようとしている。人の心が如き様相を見せる空と大地は、どことなく印象的であった。
そして、それを眺める自身もまた、紛れもなくこの世界から生まれた存在だったのだと自覚する。
「俺はただ、空に寄り添う燕でありたかっただけなのに」
「ハッ、いやに恥ずかしい事を言う」


92.『なんだって知ってた』 ──── 2019/01/22

彼は何だって知っていた。それは「叡智」と呼んでも差し支えないほどのものだった。
だからこそ、彼が何を思ってこの未来を選んだのかが俺には分からない。
そういった些細な溝のせいで、どうしても縮まらない距離というものがあった。
彼は「それでも良い」と言っていた。だけど、俺が納得出来ないんだ。


93.『自惚れないで』 ──── 2019/01/23

「ほう。余を理解したいとは、貴様もついに狂ったか?」
「なあ、今日くらいはからかわずに俺の言葉を……」
「小僧如きが自惚れるなよ」
「!」
「本当は分かっているくせに……」
陽炎のように揺らめく金色の瞳が、答えを求めるかのようにこちらを捕らえる。
彼はそれ以上を語らず、静かに待ち続けていた。


94.『負けず嫌い』 ──── 2019/01/24

それは、もはや意地だった。気恥ずかしくて言えない事を誤魔化すために、負けず嫌いを演じ続けていた。
そのせいで、俺は彼の想いに何一つとして気付く事が出来なかった。我ながら情けない話で笑ってしまう。彼もさぞ苛立った事だろう。
だから、今度は俺が向き合う番だ。もう、選択を間違えたりはしない。


95.『無条件降伏』 ──── 2019/01/25

神妙な面持ちの小僧を見ていると、何だか可笑しくなってきてしまう。
からかうつもりなど毛頭ないのだが、真剣にこちらの事を考えている小僧の姿はどうにもこそばゆくて敵わない。
「お、俺は──っ!」
「ああ、もう良い。そう悩むな、余の負けだ。無条件降伏……という事にしておくか」
「え、ええっ?」


96.『箝口令』 ──── 2019/02/20

「さっきの事、誰にも言うなよ! 絶対にだぞ!」
「はいはい」
「“はい”は一回!」
「はーい」
拍子抜けな結果に放心する様があまりにも面白くて笑いを堪えていたら、我に返った小僧が慌てるように箝口令を敷いてきた。
今更すぎるだろう。だが、今回は馬鹿正直な小僧に免じて、特別に守っておいてやろう。


97.『友情の一歩先』 ──── 2019/02/21

「そもそも、俺達は友にすらなれていないのに」
「好敵手ですらないな」
「分かってるなら、何で許したんだよ……」
「そりゃあ、面白いからに決まっているだろう」
「はあ?! そんな理由で?!」
「おお、そうだが?」
「真剣に悩んでいた俺が馬鹿みたいじゃないか……」
「フフフ、だからこそよ。構わぬわ」


98.『正直に申し上げます』 ──── 2019/02/22

「ああ……でも、たまには正直に言っておくか」
「何を?」
「感謝の気持ちをだ」
「えっ? え、ちょっと」
小僧の顔が見る見るうちに赤くなっていく。ここでからかってやっても良かったが、今回ばかりは少しだけ我慢だ。
「ありがとう……ヒ工ン」
「ッ?!」
──ああ、面白い! こいつと出会えて、本当に良かった!


99.『幸せにはできないけれど』 ──── 2019/02/24

俺達は本来、敵対関係であるはずだった。いや、それについては今でも変わっていないとは思う。相変わらず、喧嘩も毎日のようにしているし。
だから、今の俺ではお前を幸せにする事は出来ないと正直に伝えたんだ。あいつには酷く笑われてしまったが。
何が「それが“愛する”という事だぞ」だ、恥ずかしい……


100.『こんなにも愛されている』 ──── 2019/03/05

「まあ、その……不束者ですが……」
「堅い堅い、もっと軽い気持ちで始めた方が身の為だぞ」
雲一つない満天の星空を見上げながら、二人は話し続ける。真面目な話、ふざけた話、噛み合わない話。
そんな可笑しな掛け合いを笑い飛ばしながら、二人はその幸福を祈り続けるかのように優しく両手を握り締めた。

『140文字SSまとめ vol.10』

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140文字SSまとめ - vol.2 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.11〜No.20]
140文字SSまとめ - vol.3 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.21〜No.30]
140文字SSまとめ - vol.4 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.31〜No.40]
140文字SSまとめ - vol.5 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.41〜No.50]
140文字SSまとめ - vol.6 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.51〜No.60]
140文字SSまとめ - vol.7 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.61〜No.70]
140文字SSまとめ - vol.8 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.71〜No.80]
140文字SSまとめ - vol.9 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.81〜No.90]
140文字SSまとめ - vol.10 [マオヒエ] - 厳密には140文字ではない話 [No.91〜No.100]


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袖黒鴉 (そでぐろからす)
絵描き 兼 文字書き




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